心おだやかに、幸福感を感じる時間をつくるならイランイランを使おう
あるときふと唐突に「自分をどっぷり甘やかすアロマ香りたい…」と思いました。
ちょっとじゃなくて、どっぷり。ベタなぐらい甘い香りでホワホワしたいな…そう感じたときに真っ先に浮かんだのはイランイランです。
非常に甘くて濃厚な花の香りのエッセンシャルオイルですが、リラックスしつつ多幸感に包まれると言われており、体の疲れが日々の生活の中での緊張感や自分への厳しさが理由で起こっている方にはぜひ手に取ってほしい。
とくにおすすめなのは、こんなとき。
- 子育て・仕事が原因の緊張感を一度手放したい
- 過剰にだれかを責めるのをやめて、おだやかになりたい
- オシャレや美容へのモチベーションを上げたい
- やわらかいものに身体をあずけて休みたい
自力で望みをバリバリかなえていくエネルギーを回復するというよりは、
いったん時間を止めて、握っているものを手放して、自分を受け入れることを手助けしてくれる空間を作る香り。
好き嫌いが分かれ、ゴージャスで華のある精油だけに、もし一度気に入ればずーっとあなたの味方でいてくれるはずです。
この記事では、
・イランイランを使うとこころがどう変化していくか
に加えて、さらにどっぷり甘やかすために他の花系精油である
・ゼラニウム
・ローズ
・ジャスミン
とブレンドしたときの心理的作用や、どんな人に向いているか
についてご紹介したいと思います。
イランイランってこんな香り
エッセンシャルオイルは、精油を採取する部分によって大まかに花・葉・実・根・樹脂の系統に分けられるのですが、イランイランは花系、名前の意味がそもそも「花の中の花」。
「エキゾチックで濃厚な甘い香り」と表現されることが多いですが、私は昭和50年代~60年代のバスクリンの香りを思い出します。ちょっと似てる。
これでは実も蓋もないのでもう少し加えると、
単に花の香りと呼ばずエキゾチックと加えるのは、樹木っぽさ・スパイスっぽさが香りの底あるいは背景にあるからだと思います。
ローズやジャスミンは純粋に花なので、背景にみずみずしさやフレッシュさを感じますが、
イランイランの場合は、花が最終的に枝や土に接している感じを思い起こさせる。
そこらへんが南国っぽさの理由ではないかと感じます。
ローズやジャスミンとの違い:強さと濃密さ
濃密さやエロティックな感じと合わせて語られることが多いけど、たしかに濃いです。
ブレンドで合わせる精油によって変わりそうだけど、煮詰めていったら紫や金色になりそうな色合い。
他の花系精油のローズやジャスミンと比べると、私にとってはパワフルな花。
ローズが少女、ジャスミンが大人の女性、イランイランは愛人に例えられることがあるんですが、厚かましさとしなやかさが同居しているような(褒めてる)花の香りです。香りすぎるとかなり酔う。
他の精油とブレンドするときも、たいてい1滴ぐらいの少ない量での使用が勧められることが多いのは、香りの濃密さゆえ。
空間へ広がるような華やかさだけでなく、同時に深みを与えてくれる香りです。
イランイランの心理的作用
イランイラン精油は、こころにどんな変化をもたらすのでしょうか?
香りの心理的作用は、いつもまずこの本を見てみます。
1種類の精油につき、見開き2ページで身体と心への作用両方について説明してくれて使いやすいのも理由です。
この本でのイランイランの項のサブタイトルは「リラックス・官能の目覚め・至福感」。
ゆったりとした気持ちの中で幸せ感を味わえる香り。
その至福感とは何か?というのを精油の特性を人間の性格に置き換えて説明してくれるこの本から引用すると
It’s difficult to handle a true Ylang Ylang because they often live in a dream world where they are king or queen and nothing will ever harm them, where they always come on top.
「イランイランの本質はなかなか厄介です。イランイランは夢の世界の住人で、そこでは彼らは王であり女王で誰にもとがめられず、常に自分が一番でいられる場所の住人だからです」(武田訳)
イランイランの心理的本質
催淫作用があってエロチックで魅惑的なイランイランの本質は、自分が女王であること。
これが至福感の構成要素の大きな1つです。
他者を責める・自分に無頓着になる・ピリピリイライラが治まらない状態から、ささくれだった心が落ち着いて、気分が暖かく明るくゆったり上がる。
1人で自分をどっぷり甘やかす…にまさに調和するのはここだと思います。
単体で使ってももちろんうっとりできます。
が、今回はよりひたひたに自分を甘やかしたい。そんなブレンド例をいくつかご紹介します。
ひっそりどっぷり、自分を甘やかしたいときのブレンド
イランイラン 1滴
ローズゼラニウム 2滴
とにかく甘くやさしくうっとりしたい時にはローズゼラニウム×イランイランが最善です。
イランイランの精油は、甘さ重視なら私はニールズヤードのが好きです
ゼラニウムはお値段もわりと手ごろで、全身に香りを浴びたい方にはうってつけのチョイスです。
- かなり気持ちが緩むし
- あたまのぐるぐるが止まるので
- お風呂上がりのボディケアタイムなど夜向き
香りのキーワードは「女性性」
イランイランとゼラニウムは「女性」が香りの作用のキーワードの前面に出ているホルモンバランス調整系という共通点があります。
で、「甘やかされている」と感じる。
エステに行ったり、かわいい小物やコスメをに囲まれたときにも似た、女性っぽさを外側から浴びることでもたらされるあの独特の甘やかされ感・幸福感がやってきます。
とにかく、ピンクと紫色の合間みたいなぽよ~んとした優しい色合いの中に自分が漂うような感じで、かなり甘さにトロンとするブレンドです。幸せ。
しばらく香りのみ味わったあとは、キャリアオイルに混ぜて、ボディオイルにして体中イランイランになって就寝。
特に手先・足先にしっかりマッサージしながら付けると、動くたびに香って幸せな気持ちが倍増しますよ。
よりゴージャスに甘さを香りたいなら花×花のブレンド
エッセンシャルオイルのブレンドの時には、香りや効能の幅を広げるために花×葉っぱ、樹木×かんきつ系などの異なるジャンルで組み合わせることを勧めることが多いですが、イランイランに限っては花×花の組み合わせもとってもおすすめ。
どちらも高級精油ですけれど、本当にどっぷり甘さを感じたくてイランイランを手に取ったなら、ぜひ1度試してみてほしい。
同じジャンルで組み合わせると香りの要素がかぶりやすくなりがちなのですが、イランイランと他の花を組み合わせると、それまで2Dだった香りが3Dになるような、奥行きのある香りになるんです。
そしてなによりめちゃめちゃゴージャス!
いわゆる典型的なアロマテラピーで香るさっぱりとさわやかなハーブ系プロダクツに慣れている方だと驚くほどに、まるで香水のような濃ゆい華やかさが味わえます。
おすすめのお花系精油は、ローズかジャスミン。以下、簡単な説明です。
イランイラン×ローズのブレンド
イランイラン 1滴
ローズ・アブソリュート 1滴
心を満たす幸福感を与えてくれるのはイランイランと似ていますが、傷つきやすさや、自分の感情の揺れとつながりやすくなれます。
- 恋愛中の方
- やわらかで、ゆっくりとしたなぐさめで元気になりたい方
- 今の疲れが、自分の繊細さから来ていると思う方
- 自分のほしいもの・したいことがよくわからないけれど変わりたい方
イランイランが深みを与えるのに対し、こちらは限りない明るさと広がりを注いでくれるイメージです。
ローズはわりと若い女性の持つ華やかさや魅力を連想しがちですが、20代の女性はもちろん、いくつになっても誰しもが少女性を心に持っていますので、全年代の女性にやさしいなぐさめをもたらしてくれます。
イランイラン×ジャスミンのブレンド
イランイラン 1滴
ジャスミン 1滴
ジャスミンは比較的自立した女性のイメージで、35歳を超えるとぐっと好感度が上がる精油です。
それまでかわいらしく華やかなローズが好みだった人も、なぜかある時を境にジャスミンの魅力に目覚めてしまう。そのパキっとした瞬間を何度も目撃してきました。
もうすでに自分の欲しいものは知っていて、やるべきこともわかっていて、でもそれがうまくできない時にぐぐっと疲れますよね。
- 自分の能力の問題で落ち込んでいるとき
- 自信がない
- 自分に欠けている何かが気になって頭から離れない
- モノを手に入れても満足できない
そんな時に「自分が女王である」と思い出させてくれるイランイランを、さらに強力にサポートしてくれるのがジャスミンです。
成熟した女性の持つ力強さとでもいうのでしょうか。
男性性ともちょっと違う、母・妻・管理職の女性などがもつ責任感や軸をテーマに香りを使いたい方に使ってほしいです。
ジャスミンは大人の清楚さを表現するための香水にもよく使われていますが、白い清楚さだけではない魅力が感じられるブレンドです。
イランイランの甘さが苦手な人のブレンド
あまり好きではないという人も多いイランイランですが、甘すぎるのが原因で遠ざけているのなら、少しイランイランのグレードを落とすと良いかもしれません。
イランイランはオリーブオイルのように、絞った順番と質によって「エクストラ」「ファースト」「セカンド」等グレードが分かれています。
グレードが高いほど甘さと鎮静作用をもたらすエステル類が多いので、甘さ控えめを希望の方はあえてグレードが低いものをお試しいただくのも手です。
また単体で使わず、ビター系・ハーブ系など甘さを含まない精油を合わせれば、さわやかながらも思いがけずとっぷり幸せになれますよ!
ビターでさっぱりかんきつ系のベルガモットがイチオシです。
イランイランを全身にまとうボディオイルの作り方
ボディオイルは、無香のキャリアオイルに精油を加えることで作れます。
精油 3滴
キャリアオイル 15ml
イランイラン×ローズ、イランイラン×ジャスミンのような花×花の組み合わせの時には、ふつうのエッセンシャルオイルの組み合わせの時より強めに香りますので、精油2滴に対してオイル15ml(またはそれ以上)でも十分いけると思います。
一般的に、500円玉大を手に取った大きさが5mlとされています。けっこうたっぷり作れますよ!
ボディオイルについての詳しいことはこちらの記事をごらんくださいね。
まとめ
あなたの疲れの原因が、緊張感や厳しさにあるのだとしたら、イランイランがそれを甘さで緩めてくれます。
人は、ゆとりと余裕の中で自分の最大限の能力を発揮することができるものです。
イランイランを使ったブレンド精油で、甘く、やさしく、光り輝く香りに包まれて、傷と疲れを癒してください。
ゼラニウム以外だと、グレープフルーツもよく合わせます。脂肪燃焼効果が期待できる香りで、女っぷりをあげたい方には一石二鳥です。
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Valerie Ann Worwood “The Fragrant Mind” 精油を人に例えると