駅の改札に精油で香りのおもてなし
今日はアロマテラピーに関するこんなニュースをみかけました。
東急電鉄、沿線17駅で香りの空間演出 渋谷駅は構内観光案内所なども /東京:Yahoo!ニュース
東急電鉄は2月1日、沿線のシースルー改札口や渋谷駅地下通路の観光案内所など17駅23カ所に「香りの空間演出」を導入する。(シブヤ経済新聞)
導入するのは、現在17駅にあるオープンカウンターを設置したガラス張りの改札窓口「シースルー改札口」で、渋谷駅は宮益中央改札やハチ公改札など4カ所の改札と、地下2階コンコースの「東急東京メトロ渋谷駅観光案内所」、地下1階コンコースの「渋谷ちかみち総合インフォメーション」。
各所に、アットアロマ(世田谷区)の業務用アロマディフューザーを設置。オレンジグレープフルーツやシトラスライム、ユーカリラベンダーなど12種類の香りの中から、各駅の判断で毎月使うブレンドアロマを選ぶ。それぞれ、改札付近に使うブレンドアロマの種類を表示する予定。(2016年1月26日(火)14時30分配信)
駅の魅力向上に取り組む「いい街 いい電車 プロジェクト」の一環として、案内所を精油を使った香りで満たすという企画。
ここで業務用ディフューザーを提供しているアットアロマという会社は、過去記事で書いた車用ディフューザーを自動車メーカーに提供していている会社です。
トヨタもマツダもホンダもみんなここ。
ホテルやお店から一歩進んで、駅という公共スペースにアロマテラピーが導入されるというニュースです。
どの駅で、どの精油の香り?
どんな精油を使うのかな?と思って東急のサイトからニュースリリースを見たところ…載ってました、場所と香りの一覧。
【設置場所】 渋谷駅(ヒカリエ1改札、ヒカリエ2改札、宮益中央改札、ハチ公改札、 東急東京メトロ渋谷駅観光案内所、渋谷ちかみち総合インフォメーション)、 中目黒駅、自由が丘駅、田園調布駅、綱島駅、菊名駅、横浜駅(正面改札、南改札)、 大岡山駅、三軒茶屋駅、二子玉川駅、鷺沼駅、あざみ野駅、青葉台駅、長津田駅、中央林間駅 大井町駅、蒲田駅
私は福島県に住んでいるので実際の香りが試せるのはいつになることやらですが、近かったらぜひ実際に香ってみたい。どのぐらいの強さなのでしょうか。
使う精油はブレンド精油
12種類の香りは「天然100%エッセンシャルオイルブレンド 」と表記してありました。
専用のブレンドオイルの名前は、なんとなく想像がつくものから全く想像がつかないものまでいろいろ。
パッと見、柑橘系が目立つ印象です。
自動車メーカーのブレンドオイルの時にはそのブレンド内容が公開されていましたが、東急の香りもその中身もいつか公開されないかな?
【運 用】 毎月駅毎に12種類のブレンドアロマから駅の判断で使用する香りを選定します。 使用するブレンドアロマの種類は改札付近に表示します。
・オレンジグレープフルーツ
・フラワーオレンジ
・ホーウッドオレンジ
・シトラスライム
・グレープフルーツミント
・レモンユーカリ
・ユーカリラベンダー
・フォレスト
・グリーンミント
・ピュアグリーン
・ラベンダーハーブ
・サンシャイン
”ホーウッド”ってなに?
この中であまり聞きなれない名前は「ホーウッド」かと。
ホーウッドは日本語で言うとクスノキ。
ローズウッドが資源枯渇のため価格高騰・入手困難となっているため、香りや作用が似ていることから代替品として使われている精油です。
ローズウッドという名前の通り、ちょっとバラっぽい香り。甘やわらかい樹木系です。
かなーりリラックス効果が強くて、消耗しすぎたときに頭を空っぽにしたいときとかにいいんじゃないかと思う精油です。
別の記事では「利用者の反応を見て、待合室やトイレなどでの活用も検討する考えだ。」ともあったので、評判が良ければ場所も追加されていくみたいです。
待合室やトイレこそ、私はナチュラルな香りだったら嬉しいなぁ。
空間に香りがあることは好き嫌いもあると思いますが、ほどよい感じをぜひ見つけ出していただいて、みんなが幸せになる香りを!とぜひ応援したいです。
「意味のある」いい香りが採用されたことの意義
今回の「いい街いい電車プロジェクト」は、利用者の満足度を高める試み。
乗客がきもちよく駅を利用できるために、体への作用が含まれる「意味のあるいい香り」が選ばれたことに、大げさに言えば時代の空気を感じました。
鼻だけがいい香りと思うだけでは、もう足りないのかもしれない。
体や脳でもいいと感じられて、やっとおもてなしレベルの「いい香り」になる。
野菜ソムリエの仕事をしていてもこれは感じることで、野菜・果物ももう味がおいしい、見た目がいいだけでは足りなくなってきているように思います。
味がおいしいならその根拠(糖度)知りたいと言われるし、見た目の美しさ・おいしさだけではなくて必ず栄養のことを聞かれる。
消費者が「どうしてそれを消費する必要があったのか」を提供者に聞いたときに、納得できるような答えと言いましょうか。
食べ物が直接かかわる味覚、香りが直接かかわる嗅覚だけではなくて、その良さを補強するものとして「それを感じる必要性」が求められているのではないでしょうか。
体にいい香り、脳にいい香り…そのうち香りは触れたり見たりもできるようになる気がします、私たちのニーズによって。
場所に香りを紐付ける
実際は、私もホテルなど精油を香らせている空間に出会った時は上のようなことは考えずに「わーんいい香り☆」ぐらいで通り過ぎてはいるのですが、香りと記憶との深い関係を思うと、再現性が高いアロマテラピーの精油を使うのは、場所をアピールするうえではとても大事だと思います。
とある夏に山形のあるホテルに宿泊した時に、入り口でユーカリとペパーミントのブレンド精油を香らせていました。
香ったのは出入りのためのほんの一瞬なのだけれど、今もこの組み合わせを嗅ぐとそのホテルを思い出します。
複雑ではない、シンプルな、自分で再現できるような香りだったからこそ思い出している。
今回の東急のブレンドも、実物を香っていないからわからないですが、シンプルな組み合わせのもののように見えますので、もしそうだとしたら後々その駅のことを長く記憶に香りと共に紐付ける人も出てくるのではないでしょうか?
実際の香りの強さのことや、利用者の満足度のことなど、外野ながらとても興味津々です。