前回のげっきんチェックの終了後に、小川さんの奥様が「私しか食べない野菜を育ててるんだけど見ていく?」と、ハウスの裏の家庭菜園に案内してくださいました。
そこには見ていてもきれいな洋風野菜がたくさん!
何種類ものレタスやズッキーニ。
去年私はズッキーニの栽培に失敗してほとんど実らず終わってしまったことをお話したら、一本わけてくださいました。
この美味しそうなズッキーニ、 小川さんは食べないのですって。
実は私の父も、母がズッキーニを育て始まってからずっと、ズッキーニを好きになれないまま。
弟もそうです。
そして夫も。
今年、畑を始めるにあたって何を作るか夫と相談したのですが、開口一番に言ったのは
「ズッキーニ、ことしはやめよう?」
でした。そんなにいやだったの(笑)
農家の人がどんな野菜も食べていそうというのは偏見だと重々承知の上でしたが、それでも小川さん宅でも奥様しかズッキーニを食べないと伺って「お宅もですか!」と唸ってしまいました。
男性は、子供の頃食べなかった野菜を怖がる
男性は、というくくりは乱暴ですが、男の人がなぜ新しい野菜を食べたがらないかの理由を聞き続けていると
子供の頃に食べたもの・食べてなくてもお母さんが作るのを見ていたもの
以外を拒絶しがちなことに気付きました。
よくいう彼女に作ってほしい食べ物ランキング→肉じゃがの流れも、子供の頃本当に肉じゃがが好きだったのか??というのを掘り下げて聞いていると、肉じゃがそのものが好きというよりは、肉じゃがを作ってもらえた楽しかった空気や幸せが香りの思いでもコミで好きだったように思えます。
けっこういい大人に好きな食べ物を聞いても、子供のメニューと似たようなものが出てくるのは、好きな食べ物が思い出コミで設定される、男性にとってはとてもロマンチックなものだからかもしれません。
その点女性はどちらかというと現実的というか現状の自分と結び付けているというか、新しい野菜や味を取り入れるのに抵抗が少ないように思います。
新しい服を試すように、色や形の新しさを楽しんでいるように思います。
子供の野菜の好き嫌いは
子供の野菜の好き嫌いはどうかというと、お母さんが野菜を好きではないと、嫌いになる確率が高いようです。
私も好きな野菜とそこまで熱の入らない野菜では、やっぱりレシピのバリエーションが違うので、そういうことが家庭の食卓に反映されるからというのもありそうですが、
しかし私が一番思うのは、周囲の人が「おいしそうに食べてる顔」を見たか見ていないか
だと思います。
高級レストランや料亭が、視覚を楽しませて美味しさをさらに増すように、家族が美味しそうに食べているのを見ることで美味しく感じる…という流れはきっとあると思います。
事実、野菜ソムリエが行う食育教室ではまず野菜を見たり触れたりして「楽しむ」ことからスタートしているものが多い。
それはきっと、楽しい経験で気持ちを沸き立たせてから食べるから美味しく感じるからだと思うのです。
子供の野菜の好き嫌いはあって当然だと思っています。
苦み・酸味はそもそも人間が食品が安全かどうかを判断する際の「危険信号」に属する味ですので、味に敏感な子供がそれを避けるのはある意味本能だから仕方がない。
そんな中、成長する過程で少しずつ好き嫌いを克服していく中、家族やお母さんとの絆や思い出を感じたメニューは、将来その子の好きな食べ物リストに入る可能性が高いのだろうな、と思います。
そう考えると「肉じゃがが好き」という男性にとっては、肉じゃがはもしかするとニンジンを食べられるようになった楽しい思い出とセットのメニューなのかもしれません。