ほろ苦い春の野菜が生きる細巻き
黄色いお花がかわいいナバナ、野菜としてのおいしさの旬は12月~3月と真冬の野菜なんだけれど、どうしても春の匂いがし始めるこの季節に気になります。
食べ方は韓国風細巻き。ナバナってだいたい10㎝ぐらいに短くカットされて売られているので、包丁使わずそのまま茹でて巻いて使える食べ方です。
しかも細巻きなら、お子様でもぐずぐずこぼさずに食べられるしいいかな?と思いまして。
本当は具材をたっぷり巻く韓国風細巻きですが、今回は具材を最小限にしたパターンですので、ぜひ自分で作るときはお好きな具材を足して巻いてください。
ナバナの韓国風細巻きの作り方
菜の花 4本
海苔 1枚(1枚を4枚に分割する)
たくあん 5センチ(細長く切る)
ご飯 茶碗1杯(0.5合)
ごま油 小さじ1
塩 少々
しろごま 少々
1. 菜の花を茹でて水を絞り、ゴマ油と塩でかるく和える
2. ご飯にごま油小さじ4分の1(ティースプーン1程度)と塩少々をまぜる
3. ご飯を海苔に乗せ、菜の花とたくあんを巻く
4. 巻きあがったら表面にごま油を軽く塗り、ゴマを振ってできあがり
せっかくナバナを使うので、お花ははみ出すように巻きました。
キンパとは、韓国の具だくさん海苔巻のこと。コマキンパは日本語では細巻きにあたります。
日本の海苔巻きが酢飯を使ったり野菜は砂糖醤油で甘辛く煮るのに対し、ごま油と塩でごはんや野菜に味を付けるところが大きく違います。
野菜や卵の他、漬物やチーズなど自由な具材をたくさん挟むことも特徴です。
↓韓国のいろんなキンパを食べ比べた記事。具材のバリエーションがすごい~!これ見ると、今回たった2種類しか巻いてないのなんてキンパとは呼べない…
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ナバナはタンパク質や油分と一緒に食べよう
ナバナはカルシウムが豊富です
ナバナはカロテン、ビタミンC、葉酸など様々な栄養素が豊富に含まれている栄養価の高い野菜ですが、とくに注目したいのはカルシウムの豊富さです。
カルシウムの多さで有名な小松菜には及びませんが、それでもホウレンソウやブロッコリーの3倍のカルシウムが含まれています。
キンパの具にはホウレンソウのナムルが使われることが多いですけれど、カルシウム重視ならナバナや小松菜にぜひ置き換えてみてください。
カルシウムは油分・たんぱく質と一緒に
なんで今回ふつうの日本風細巻きではなくて韓国風にしたかというと、油やたんぱく質を使う食べ方だから。
ナバナにはカルシウムが豊富なのですが、油分やたんぱく質と一緒に食べると吸収がよくなるのです。だからナバナを油揚げやベーコンと一緒に炒めて食べるのは、とても理にかなった食べ方。
韓国風細巻きだと、卵や魚肉ソーセージの他、ハム・牛肉・鶏肉…といろんなたんぱく質を巻いて食べる。ごはんも海苔もごま油で仕上げられている…というわけで、日本風の細巻きよりいいかな、と思いました。
また単純に、ほろ苦い味が酢飯より断然ごま油と合うんだな。
春の野菜のほろ苦さ=植物性アルカロイド
春野菜に独特なほろ苦さ。この正体は植物性アルカロイドと呼ばれる物質です。
植物性アルカロイドと聞くと、犯罪ドラマが好きな私の脳内ではニコチンやトリカブトなどの毒物などが思い浮かべびますが(鑑識の方が報告に来るの)、食べられる野菜に含まれている植物性アルカロイドはむしろ体から悪いものを出してくれる解毒作用(デトックス作用)や新陳代謝を高めるがあります。
春野菜・山菜って芽だったり蕾だったり、成長のためのエネルギーがギューっと詰まってるイメージがあります。
そのエネルギーの象徴のような苦み成分に、解毒・新陳代謝の作用があるってとても覚えやすいし、まさに春の野菜はかくもあらまほしき、といったところです。
またナスのヘタでイボが取れる…という民間療法をご存知ですか?
これも茄子の植物性アルカロイドを利用した作用だと言われています。
私は小さいころにおばあちゃんにこれをやってもらった記憶があるのでとても身近に感じていましたが、同世代でこの民間療法をご存知の方にはまだ会ったことがないんだな…
ちなみに、茄子のヘタを枯れるまでイボにつけておいて、その後土に埋めるというものです。後半はちょっと呪い(?)祈り(?)が入ってますね。
当時は全く信用していなかったのですが、野菜ソムリエになって初めて知った時には真っ先におばあちゃんごめん、と思いました。
ナバナの保存方法と選び方
葉や茎の緑の色が濃く水分が抜けていないもの、蕾の大きさ・並びがそろっているものが新鮮です。
スーパーでパック詰めされていたものを買った時には、お花部分をよく見えるようにするために、葉がおられていました。ちょっとかわいそう。
食べる時の見た目優先なら花が咲いたものを、おいしさ優先なら蕾がさいていないものを選びましょう。
保存はビニールに入れて立てて保存ですが、これでも保存できるのは1日~2日。3日以上保存したいならば一度茹でてから保存したほうがいいです。
さいごに
今回使ったのはアブラナの蕾の、正当な「ナバナ」でしたが、直売所に行くといろんな種類の「菜の花」系の野菜が並んでいます。
小松菜の花
アスパラ菜
茎たち菜(かぶれ菜)
などなど。
花のついた野菜が食卓にのると、本当に一気に春の空気が漂います!いろんなお花を巻いてみてくださいませ。
2017年3月24日放送のテレビユー福島「げっきんチェック」の金曜日コーナー「野菜ビストロ|ナオトキッチン」で「ナバナの韓国風細巻き」としてご紹介しました。