先日のげっきんチェック「畑にキテます」のコーナーでは、郡山市阿久津の曲がりねぎをご紹介しました。
その時に「伝統野菜」という言葉を使ったのですが、それについて説明できるだけの時間がなかったので記事にしてみます。
「阿久津の曲がりねぎ」は伝統野菜です
「伝統野菜」ってご存知ですか?
伝統野菜とは、 その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの。地域の食文化とも密接していました。
野菜の揃いが悪い、手間がかかる、という理由から、大量生産が求められる時代にあって生産が減少していましたが、地産地消が叫ばれる今、その伝統野菜に再び注目が集まってきています。(農水省 特集 野菜をめぐる新しい動き 伝統野菜の実力(1)より)
何年以上栽培されている等のきっちり数字で表した定義はありませんが、
採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの
これが1つのポイントです。
阿久津の曲がりねぎも、毎年できあがった作物から種を取って、それを使って次の年に育てています。
これって当たり前のことでしょう?と思われるかもしれませんが、種屋さんから種や苗を買ってきて作付する場合の種は、
「多く採れる・形が均一・早く育つ」などの商売としての都合を満たすような品種改良がしてあります。(交配・F1種と呼ばれます)
そのため、特徴がきちんと表れて育つのは1代限り。
ww4.enjoy.ne.jp
伝統野菜の場合はこういった操作がされていないため、育てるのに手間もかかるし、商品として出荷する際の箱詰め用の大きさや、見た目のきれいさなども揃いにくい。
一年中採れるように「寒さに強く」や「病気に強く」することも、もちろんしていません。
つまり大量出荷のニーズには合わない作物です。
しかしその土地の個性が色濃く反映されている。
そこに、その時期に行かないと楽しむことができない個性。
これこそが魅力です。
生産者の橋本さんのお話ですと、以前別の種類のネギの種を使って、同じ方法で栽培したことがあったそうなのですが、阿久津の曲がりねぎと同じようなやわらかさにはならなかったそう。
阿久津の曲がりねぎは栽培方法も独特ですが、まずは種自体も独特なもの。
種と栽培方法の両方の知恵を引き継がなくては、伝統野菜にはなれない。
日本全国の伝統野菜についてと、その背景についてはこの記事がとてもわかりやすかったです。
大事な種を見せてもらいました
曲がりねぎの種はこんな感じ。
いざというときのために、ジーンバンク(遺伝子銀行)に保存もしてあります。
種ってどのぐらい保存できるのですか?100年前の種も芽が出ますか?と聞いてみたところ、
きちんと発芽させたいなら3年以上たつと難しいかな~とのお答えが。
毎年、採りたての種を使っているそうです。
一粒はとても小さい。
これを畑にばらばらと撒いて芽を出させる。だいたい9月ごろに種まき。
手前に生えているのは雑草です。
保存会の奥様方が、これを「貧乏草」と呼んでいるのが面白かった!
「今年は土がやわらかいから貧乏草取りやすくて~」
って話しているのを聞いて、「ん?貧乏草??」と思って訪ねてみました。
確かに雑草をほったらかしにするのは、貧乏のもとですものね。
よく似ている二つですが、見分け方は「陽にあたって黄色く光るのが貧乏草」だそうです。
福島県でしか味わえない、このネギをぜひ食べてほしい
番組では、ネギの収穫も体験させていただきました。
抜いている途中から、ぷわ~んとネギの香りがしてくる!
現在、阿久津の曲がりねぎが買えるのは主に県内ですが、もし福島県にお越しの際に買って帰れるならばぜひ試してほしい一品です。
県内ならどこでもあるスーパー「ヨークベニマル」で買えます。
県外の方は、曲がりねぎ保存会の方へご連絡を。
イベントなどで販売する機会や、まとめて注文する方法などについて教えてくださいます。
阿久津曲がりねぎ保存会
【住所】郡山市阿久津町字舘側50
【TEL】024-943-6261 【FAX】024-643-6261
焼き鳥屋さんで阿久津の曲がりねぎを出しているところないかな~
テレビの時にやってもらった炭火焼が、本当においしかったのです!
もし見つけたら、すぐさまブログでご報告します。
見つけた方もぜひ教えてください。
願わくば、郡山の玄関口・郡山駅の立ち食いソバに、曲がりねぎトッピングが付きますように。
郡山のおいしいものを食べる時間のないビジネスマンにも、楽しんでもらえるように。
テレビでご紹介したときの様子、作った曲がりねぎのカレーマリネについてはこちらをごらんください。