7月16日のテレビユー福島 げっきんチェック「畑にキテます」に出演しました。
福島県内の農家さんの畑を訪問して、作物の作り方や見分け方などを伺ってから、私が簡単な料理を畑でする番組です。
作っている人の魅力や工夫、畑そのものの魅力が伝わったらステキ!…という目論見の番組ですが、今日は雨がスゴかった!さすが台風。
二本松市のなす農家 菅野さん
今日のテーマは茄子で、二本松市戸沢地区(旧東和町)にある菅野さんの畑に伺いました。
途中テレビで番組のオープニングを見て、「戸沢地区」「茄子」ならば、菅野さんちに違いないと思った方がギャラリーに駆けつけるぐらい、地元では有名な茄子名人です。
他の農家さん達が見学に訪れることも多いと伺いました。
農家の何がやりがいかといったら、そういった切磋琢磨をして人よりよいものができる達成感だとは菅野さんの弁。
教え慣れていらっしゃることと合わせて、本当にとても気さくで親切な方で、待ち時間にたくさん茄子のことを教えてくださいました!
ちょうど出荷のための包装作業が終わったところだったので、A級品・B級品を手に取りながらの説明はわかりやすくて、もっとそれが聞きたかったです。
そんな菅野さんから教わった茄子の話を今日は書いていきたいと思います。
今シーズンの茄子
今シーズンの茄子についてですが、5月にさっぱり雨が降らないカラ梅雨だった影響で、茄子の木があまり大きく育たなかったそうです。
雨の時期には雨が降らないといけないんですね。
木の勢い=樹勢はその後いい茄子が育つかどうかにはとっても大切。
収穫は7月下旬から8月をピークに10月ぐらいまで続くので、まだ茄子はスタートしたばかりです。
暑い夜ほどよく育つ
夏が旬の茄子は、暑ければ暑いほど成長が早まります。
だから雨が降ろうが台風が来ようが、旬の時期は収穫作業をしないことはないそうです。
特に熱帯夜には大きく育つ。
もともと茄子はインド原産のため暑いところは大好きなんですが、菅野さんが「熱帯夜は夜中にやにやする」ほど好きだなんて!
これからの暑い夜には、茄子の気持ちを想像したい。
↑かつてお蚕様を育てていた広い納屋が作業小屋になっていました
育つ速さが皮の柔らかさ
暑い夏ほどよく育つということは、5月下旬~6月頃の茄子は成長が比較的遅いということ。
旬の茄子が2週間ほどで収穫できるのに対し、初夏の茄子は3週間ほどかかります。
成長が早いほど、皮が薄く柔らかい茄子ができるのだそうで、これから出回るのは皮のやわらかな茄子です。
茄子の栄養で一番大切なもの、ポリフェノールの一種「ナスニン」は、皮に含まれている色素成分のこと。
コレステロールを下げる力が野菜の中でもトップクラスのナスニン、90%以上が水分でできている茄子を食べる上ではどうしても取っておきたい栄養素。
だから皮は外さず食べてほしい。
皮が軟らかく仕上がるこれからの季節こそ、栄養的にも茄子の旬になっていきます。
風が大敵
暑さ大好き、たまの雨は大歓迎ですが、大敵は風。
めしべが長いものの方が大きな茄子に育つということを番組内で説明して頂きましたが、めしべが長いもの=大きな花。
その花が風で飛んでしまったら元も子もなく。
またちょっとこすれた部分が、成長するにつれて茶色い傷になっていきます。
菅野さんはそれを「すれ茄子」と読んでいました。
本当にナイーブな作物です。
今日の雨は風を伴わないまっすぐに降り落ちる雨だったので、ここ数日のカラカラお天気のあとだったこともあってか、菅野さんは「最高だ!」ととても喜んでいらっしゃいました。
茄子もヘタでみわけよう
ピーマンもヘタの部分が見分けるためのポイントでしたが、茄子もどう育ったかがヘタで判断できるそうです。
目と口を書き込みたいぐらい、かわいいカツラのような茄子のヘタ。かわいい!
こちらがB級品の茄子のヘタ。
胴体部分はなんとなく同じ見た目なのですが、ヘタが全然違います。
これは、まだ若い茄子のときにダニがついてしまったとか、なにかがあった証拠なのだそうです。
茄子畑が一番美しいのは夜明け
夜に力を蓄えた茄子の樹が、葉っぱにもその勢いを溜めている夜明け、ここが一番美しくて気持ちいいのだと菅野さんが話してくれました。
昼間に見ると広がって下に降りている葉ですが、夜明けはまっすぐに上を向いている。
この夜明けの葉の状態で、樹の勢いがわかるそうです。
元気じゃない樹のときは、朝でも葉が下に下りているそうですので、茄子を育てている方は一度早朝チェックをしてみてはどうでしょう。
私の家庭菜園は「ほったらかし農園」、実は夜明けに見たことがありません。
どうなっているのか今度見てみよう。
本でみたことじゃわからない
菅野さんは茄子だけではなく、いちじく、ぶどう、桃などいろいろな作物を育てています。
とくにブドウはまだ3年目だとかで始まったばかり。
ブドウを始めるときにいろいろ本を見たり聞いたりして来たけれど、やっぱり本物にぶつかってみないとわからないことばっかりだと繰返し仰っていました。
私が書いたり話したりしていることは、ほぼ読んだことや聞いたこと。
だけれど、こうして菅野さんが実際にやってみて感じた「本との違い」みたいなところにこそ迫りたい。
もしこの番組を通じて私に役割があるとすれば、そういうところだと思いました。
大雨に驚いてぼんやりしている場合ではない!(という反省で今日は終わります)