福島県が食育教室に講師派遣を手伝ってくれる「福島食育実践サポーター制度」経由で、明日は相馬市立玉野中学校へ行ってきます。
前回伺った福島北高校も初めてでしたが、中学校ももちろん初めてです。
今年は初めて尽くしの年で、緊張感が絶えません。
テレビもそうですが、どんなによく見せようと思っても「日ごろの自分以上のものは出ない」とつくづく感じています。
だいたいいつも直前まで「どうやってやろうかな」と考え続けたり、新しく何かを読んでみたり加えようとしてみたりするのですが、結局向かってみれば日ごろ感じていることから順番に口から出てくる。
部活や受験勉強と同じ仕組みだから反復練習していたのだと、今頃思い当る。
今回は、トマトを使って授業をする予定です。
トマトは今が旬で
野菜の人気ランキング1位で
売り場面積も広く
他の野菜に比べて品種の違いで買われていて
甘い~酸っぱいまで味の違いも顕著で
大きさの違いも幅広く
家で作られていることも多く
料理の幅も広い
から選びました。
トマトは数ある野菜の中で、いろんな顔が知られている上に、食べている人と接している時間が一番長い野菜です。
愛されている野菜が、その愛され度に比例してどんどん美味しく種類も多くなっていった見本のようなもの。
食べてる人の「もっと食べたい」「使いたい」がダイレクトに反映されています。
もしトマトを好きになったように他の野菜にも興味が持てたら、ニンジンだってピーマンだって同じようにいろんな展開をするかもしれません。
野菜の消費を増やすために6次化が叫ばれていますが、それと同じぐらい加工していない野菜の消費が増えることを願っています。
そこが増えることが、野菜を美味しく食べている証拠だと思うからです。
生のトマトが好きじゃなかったら、トマト味のものだって消費は増えないですよね。
トマトを食べ比べて見ることを軸に、農家でもレストランでもスーパーでもない「普通に食べる人」として授業をしてみたいと思います。
追記:行ってみての感想
玉野中学校は、とても小さな学校でした。
だからなのか、先生が生徒さん一人ひとりのことをよくご存じです。
生徒さんも、先生にとてもオープンに接しているように見えて、自分が中学生の頃と比べるとこんな近い距離で日々学べるのはとても羨ましいと感じました。
一番印象に残っているのは、みなさんとても礼儀正しくしっかりとご挨拶をしてくださったこと。
爽やかな挨拶や言葉に、自分の振る舞いを振り返る瞬間が何度もありました。
それは学校の玄関をくぐった時から始まっていて。
このメッセージが本当に心に響き嬉しかったので、私も誰かを迎えるときには、本当に心から迎えていることを伝えたいと思いました。
そこは誰が学ぶ場なのか
以前、外国人に日本語を教えるボランティアグループで教えていたことがあります。
私は英語圏の方に教えていたのですが、その際「私も英語が学べて嬉しいです」と感想を正直にグループの方に伝えたところ、「ここはあなたが学ぶ場ではありません」と言われたことがあり、今も強く記憶に残っています。
なるほど全くその通りだ、と思ったからです。
そのボランティアグループは平日の夜間に開催されていて、参加しているのは仕事のために来日した大人や、お母さんの再婚で来日した子供たちまでさまざまでしたが、みんな「明日にでも日本語がうまくなりたい」人たちばかり。
それぞれの仕事を終えた後の限られた時間の中で自主的に学習している中で、本当にそのひとの学びを助けたいと思っていたら「私も勉強になります」じゃねーだろ、とぬるい気構えがその日から修正されました。
お互いに学ぶところはある。
でもそこはキッチリ横に置いといて、目の前の人の学びが最優先。
この人は教育のプロなんだ、と思える人に会うといつもこのことを思い出します。
玉野中学校でも、それを思い出しました。
今回は
今回は、とにかく野菜は同じに見えていろんな種類があることが伝えたかったです。
嫌いだと思っている野菜でも、食べ比べ等を通じてじっくり観察したり、違いを話しあったり、味や食感の違いをよくよく感じて見ると嫌悪感が薄れてくる不思議があります。
一人で単に食べるのではなくて、誰かと食べて話し合うことの不思議です。
野菜に限らず、調味料やお酒でも、この食べ比べをすると、する前と後では対象に対する興味と愛情の深さが違う。
家庭でみんなで囲むご飯は、この食べ比べを自然に行う場です。
毎日同じご飯を食べて、違いを話しあえる人がいる。
今日のご飯がもしおいしかったら、ぜひおいしいと一緒に食べている人に伝えてください!