「野菜は生かさず殺さず」
これまで私は野菜にまつわるたくさんのことを鳥取県にある有機・無農薬栽培農家の亀井さんから伺って来ましたが、その中でも上位に入る「心に響く野菜の言葉」がこれでした。
野菜は、生かさず殺さず極限状態で育てた時が最もおいしいのだそうです。
アメリカのドラマのように、無人島で幾日も飢えと恐怖にさらされながら過ごした登場人物たちが徐々にその本性をさらしていく…ような過酷な追い込み方式で野菜の持つ本来の力を引き出すとでも言うのでしょうか?!?!
農業、なんというスパルタ!!
水をあげないことで、根が水を求めて地中深くに伸びる。成長がゆっくりになることで、養分が実にギュッと凝縮する。
これは化学肥料と有機肥料の違いとも少し重なる部分です。
化学肥料と有機肥料の最大の違いは、その「効きの速さ」。
化学肥料は一般的に即効性があるため、植物本来の成長速度をさらに早めます。
しかし有機肥料は効きがゆっくりなため、根も茎も葉もしっかりと力を蓄えながら育っていきます。
外見は同じように見えても、化学肥料で育った野菜は根の張り方が浅いのだとか。
(栄養を探しに深く伸びる必要がないから)
「根っこが浅いのは、口あけて餌が来るのを待ってるようなもんですわ」(亀井さん語録)
精製されてる化学肥料は、育つのに最低限必要な栄養分(窒素、リン酸、カリウム)が入っているだけ。
そこに、自然界の複雑さはありません。
それを待って口をあけてる様子がなんとなくイメージできると、改めて野菜が生き物だと言うことが理解できます。
根を深く張ることのメリットは、
1.根を深く伸ばすことで、野菜が関わる微生物の種類が増える
2.関わる微生物の種類が増えると、その微生物の生成するミネラル分もたくさん吸収できる
などなど。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、これ、まるで人間の成長過程のようだと思いませんか??
子供に「広い世界で勉強してこい」と言うかのように、豆知識のようなとリビアを集めるのではなく深く知識を深めるように、浅く広い交友関係ではなく一人の人とじっくり付き合うかのように。
そんなふうに、人も野菜も美味しくなっていくのかもしれません。