山椒の旬は6月です
タケノコの季節には、スーパーでは数枚ちょろっとだけで売られている山椒の葉(木の芽)ですが、旬である6月ならばたいそう安価でたっぷりとした量で産直に出回ります。
実も、葉も、どちらも。
旬は本当にお財布に優しい。
たっぷり買って…どうやって使うの?とお悩みの方に伝えたい、山椒の葉はレモングラスだと思ってアジア料理に使うこと。
タケノコや焼き魚に品よく乗っているあの姿が固定観念となっていて和食の使い道ばかりを考えていたのですが、ある日焼きビーフンに入れたらなんとまぁ、本場っぽさがぐぐっと増していました。
それ以来、山椒の葉を手に入れたら必ず焼きビーフンを2度3度と食べています。
もちろんスープもおいしいよです。
山椒とレモングラスの共通点
これが入っていればまず間違いなくタイ料理風の味付けになる、アジア風のお料理に欠かせないハーブのレモングラスはエッセンシャルオイルにもなっていて、レモンの香りがするけれどもとはイネ科の植物で、葉っぱも稲に似ています。
そのレモングラスに含まれているのが、虫よけでおなじみのシトラール。
これが山椒にも含まれています。
レモングラスは日本でも栽培されています。有名なのは佐賀県武雄市。
武雄そだちレモングラスショップ
武雄育ちのレモングラスが今、各界から注目されている!?
佐賀県に住んでいたら、フレッシュなレモングラスも気軽に買えるのかな?
だとしたらそれはとても羨ましい話です。
フレッシュなレモングラスをたっぷりつかったお茶はぜひ飲みたい!
…しかし私の住んでいる東北地方では産直でも生のレモングラスが販売されているのはほとんど見かけたことがありませんので、お料理には山椒の葉をうまく使っていきたいところです。
温める山椒、冷やすレモングラス
またレモングラスは体を冷やす作用があるのに対し、山椒は逆で体を温める作用があります。
レモングラスの原産国は東南アジアですが、山椒は日本原産であることと関係があるはず。
暑い国で生まれたものは体を冷やすことが多く、寒い国で生まれたものは体を温めることが多いのは陰陽食事法でも知られたところです。
ここらへんも万年冷え性の私には向いているところかな?
山椒の葉、ざくざく切って入れました
今回の山椒焼きビーフンの材料です。
- 先日食べ残した鶏肉とパプリカ、カラーピーマンの炒め物
- ニラ
- しいたけ
- 山椒の葉
- 生姜
- レモン
山椒は茎ごと細かく刻みました。
木の芽をたたいて香りを出すように、刻むことで芳香成分が出てきます。刻んでなんぼ。
私のレモングラスの思い出は、父と2人でアメリカに住んでいたころの夕飯です。
レモングラスの入ったグリーンカレーを出したときに
「食べられないものは入れてはいけない」
との注意をもらったのを思い出します。
そうなのです、スパイスとして売られている乾燥したレモングラスは食べられないけれど、山椒なら茎ごとでも刻んでしまえば食べられるのもいいところだ。
ごま油をしいて、具材を炒めて、最後にビーフンを加えて塩コショウ、醤油。
醤油がナンプラーならさらにタイ。
アジア風のものは酸味と甘みがポイントなので、砂糖も足しました。
最後にレモン果汁をたっぷり絞ってできあがり。
このレモンがもしライムだったらきっともっとタイ風になるはずですが、山椒のおかげで十分タイしておりました。
ごちそうさまでした☆
実の部分は山椒醤油に
実は山椒醤油に。瓶に入れて、ひたひたに醤油を注ぐだけ。
数日たつと、山椒の香りが移った醤油が出来上がります。
冷ややっこのほか、炒め物などに使うと一気にアジアっぽさや本格中華っぽさが加わります。
今回つかった醤油もこれです。
なんの手間もないのに夏の冷ややっこも一気に華やかになるのがいいところ。
大葉醤油、ニンニク醤油など、ほかにもいろんな香りのついたフレーバー醤油はなにせ便利で簡単なため、一回作ると次も…となる人が多いですよ(私調べ)。
山椒の香り成分のこと
こっからはアロマテラピー的な話を。
山椒は植物としてはミカン科に属していて、アロマテラピーでも和精油として手に入れることが可能です。
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精油としての山椒は私も未経験なのですが、こうして山椒をアップで見るとなるほどミカン。
ちゃんとした精油には成分分析表がついているのですが、あいにくネットで見られるようにしているところが見つけられず、なんか山椒の芳香成分を書いたものはないものか…と探していたら、日本香料工業会のサイトにちょうど山椒若葉の香り成分について書かれた記事がありました。
山椒若葉の香気寄与成分を(Z)-3-Hexenal、(Z)-3-Hexenol、Linalool、Citronellol、2-Tridecanone、Geraniolと報告している。
(中略)
Jiang、久保田は、青山椒(未成熟な果実)のグリーン感にcitronellalが、スウィート感に桂皮酸メチルが寄与しているとしている。
それぞれが何パーセントぐらい含まれているのかは書かれていませんでしたが、リナロール(ラベンダーなどに入っている鎮静成分)、シトロネロール(昆虫忌避)、ゲラニオール(ゼラニウムから発見されたバラに似た香り)などアロマテラピーを勉強しているとおなじみの成分が並んでいます。
さすが薬味、芳香成分ったぷりですね。
なじみのないものもありましたが、そちらは葉っぱらしい青葉の香りのこと。野菜や葉物全体に含まれている「青葉アルコール」と呼ばれている成分です。
食品・化粧用香料として製造している会社のHPから引用しますと、
(Z)-3-Hexenal:シス-3-ヘキセナール 強い拡散性で深みのあるベジタブルグリーン。
(Z)-3-Hexenol:シス-3-ヘキセノール 強い新緑の若葉様の香り
(日本ゼオン株式会社のサイトより)
シス-3-ヘキセナールは青葉アルコールの中でも、緑茶の香り成分…と言われていますが、東京都茶協同組合のサイトによれば、お茶の新鮮な香りは青葉アルコールよりむしろリナロールの方が寄与しているようです。
研究が進むとほんとにいろんなことがわかっていくね…こういうのを見ると、古い本ばっかり読んでいてはいけないな、と思う
アロマテラピーの本はついついクラシック化しているものを購入しがちなので、自分への戒め。
結論としては、ミカン科(つまりかんきつ系)で若葉のようなグリーン系の香りがプラスされているから、レモングラスっぽい香りに感じるのかな。
リナロール・ゲラニオールはレモングラスにもけっこう多めに含まれている成分で(リンク先に成分表があります)、どちらもお花のかぐわしさだから、それは山椒の薬味としての華やかさや上品さとして私たちが感じている部分に貢献しているのかなと予想しています。
なんというか「役者の華やかさ」的なほうの花。
植物に含まれている芳香成分はこれだけではなく、数十~数百種類含まれているのが一般的なため、あくまでその大き目パーツを何個か並べて思ったことではありますが、山椒の香りの品の良さを少し覗き見できたような気分になりました。
日本の6月の香り・山椒をぜひ食べてお楽しみください。
【アジアンなほうれんそうサラダ作りました】
このサラダも、山椒醤油が合うよ!