子供のころ、色鮮やかな野菜はそれだけでとても特別な感じがした。
茶色の土の中から出てくるのに、どうしてこんな濃いピンクや紫になるのかが不思議で仕方なかった。
トマトの赤もニンジンのオレンジも驚かないのに、ラディッシュのピンクや紫はギンギンギラギラ最も鮮やかで特別。
大人になって知りました、その成分はアントシアニン。
ブルーベリーで有名な抗酸化物質ポリフェノールです。
このアントシアニンが目にいいという話をよく聞きますが、実はこれを立証しているきちんとした研究論文はなかったりします。(この話は長くなりそうなので別の機会に)
鳥取県にあるあおぞら農園の亀井さんが、ラディッシュを育てるときのコツやノウハウの話をしてくれた。
その話はまるで、デパートの化粧品カウンターで聞く「お肌の手入れの仕方」の話のよう。
土から出ている部分が乾燥すると、どうしてもそこに割れやひびが入るんです。だから育って大きくなって土から出た部分には、優しく土をかぶせて保護してあげるんです
—どうして外に出ていると割れるんでしょうか?
「乾燥でしょうね。水分が表面から蒸発してしまうと、そうなるんです。色も鮮やかさが減ります」
お肌をいかに健やかに保つのかは、ひとえに保湿。
化粧水を十分肌にしみこませるために、マッサージで血流を良くし、スクラブで余分な角質を除去する。
化粧水が蒸発しないように、乳液やクリームで蓋をする。
お化粧のためのアイテムはたくさんあるように思えるけれど、それらの目的のほとんどすべては、いかに水分を蒸発させずに機能成分を肌にとどめるか、にあるのです。
ラディッシュの色と肌の話と似ていると思いませんか?
美味しさは土の力。
でも、見た目の美しさは亀井さんがかけてくれた手間です。