春先のことですが、2泊3日で入院しました。
当初の予定では4泊5日だったのですが、重症患者さんが多くて稼働率100%を超えた状態だったらしく、新たな患者さんを迎えるためにも予後がよかった私は自宅でOKということになり、手術の翌日に退院しました。
主治医の先生は「もう少しいて様子見てもいいよ」とは仰っていましたが、食事制限もなく、翌日からは歩くこともでき、不快な症状が出ているわけではない「傷口の治癒待ち」の私にとっては、病院よりも自宅の方が心と体にいいと感じて退院を即承諾。
短い入院生活でしたが、病気そのものよりも、入院暮らしを甘く見てたと痛感。
心も体もだいぶ緊張していたようで、だいぶコリコリ・カチカチ、それをほぐすのにだいぶ時間がかかりました。
入院している間に、院内でアロマオイルのマッサージ受けられたらな。
贅沢に聞こえるかもしれませんが、もしあそこでじっとしている間に背中のカチカチだけでも解消できていたら、今頃もう少し楽だったかなーと思いながらその後を過ごしていました。
特に術後は普通のマッサージ師さん・エステティシャンの方にかかるのは大丈夫かな?と心配になるし、実際受付けていないお店もあります。だからこそ、院内に医療の知識のある方が施術する、そういう場所があったらなぁと。
そして、花でもお菓子でもない新しいお見舞いとしてお届けしたい。
そんなことを思うに至った経緯を書きたいと思います。
場所に対する緊張から来る精神のコリ
まず、入院はすごく緊張する。
病室にいるだけで非日常な上、今の病院は本当に忙しい。
検査・処置や手術への同意書や説明書の他、治療スケジュール、患者さんのプロフィールを把握するためのアンケート。
実際アンケートがとても細かくて、A4×4枚?5枚?ぐらいある。例を挙げると
「今回の入院がわかった時に感じたことはなんですか」(自分、家族と別々に)
「運動習慣・食生活などで民間療法・代替療法は取入れていますか」(マクロビとかそういうの)
「退院後はどのように生活をしたいですか。したいことはありますか」(自分、家族と別々に)
など、生活や考え方など多岐にわたる内容。今ってこんなに患者の環境や考えを尊重するんですね。
もしFBIプロファイラーが手に入れたら私のことは概ね理解されてしまいそうな細かさですが、治療に当たる方々は1人1人ずつのこういった情報を一度頭に入れて、さらに紙を管理しながら対応に当っているかと思うと、本当に頭が下がります。
超パラレルワーク。
これらをベッドに腰掛けて、同伴してくれた家族と一緒に書いていくわけですが、処置のリスクや具体的な手順を読み進めるうちに、家族もここにきてようやく理解した今回の入院内容に少しずつ不安を覚えているのがなんとなく伝わってくる。
いそいそと売店に何かを買い足しに行ってみたり。
そういう手続きをしながら検査を進行するために、ベッドには看護師さんや事務の方がひっきりなしにやってきます。
(ものの数時間の間に、検査を4つぐらいこなした)
患者も忙しいが、スタッフの方も全員忙しい。そして家族は気ぜわしい。
とにかくこころが緩んでいる状態がなかったです。
三者三様の緊張があいまって、まだなんにも始まっていないうちから体はその場にいるだけで固まっていました。
すっごいパキパキ。
今回の私は処置的治療の入院だったので、治癒への不安はほとんどありませんでしたが、これが治る/治らないに直面している患者さんだったとしたら、さらに不安や恐れが加わるかと思うと、ただでさえ体はいっぱいいっぱいなのにもかかわらず、入院は本当に体が高ぶった状態だと思います。
物理的に狭いことからくるコリ
病院のベッドは狭い。
そして大部屋にいたのですが、ずーっとカーテンが閉められている。
閉そく感が苦手であけっぱなしにしておいたのですが、看護師さん達が来るときちんと閉めて帰っていくことを見ると、どうもこれは閉めておく人の方が多いんだなと思いました。
長い間滞在すると、閉そく感よりもプライベート確保の方が重要になってくるのだろうと予測。
そこにずっといると、背中が丸まった状態が続きます。
気分も落ち気味だし、体を起しても目線がなんとなく下向きのままだからです。
楽しい気分なんてないので、体の動きが小さくなっていくのも原因かもしれない。
とにかく反りの動きが発生しない。
反る動きって、多少前向きな気持ちじゃないとやらないんだなーというのはちょっと発見でした。
点滴の管がついていると腕を高く上げることはもちろん、真横へ伸ばすこともないので、肩~肩甲骨周辺も固まりました。
せめてゴルフボールだけでも持ってくれば…。
ゴルフボールを踏んで足裏をゴロゴロするのは、お世話になっているリフレサロンの方から教わったことで、どんなに弱っていても面倒でも、起きられさえすればできるマッサージとして私でも続いているもの。
はじめは便秘解消のための腸を刺激する方法として習ったのですが、今はなんとはなしに疲れたり巡らなくなったらゴロゴロ。
「足マッサージ…」と夢見ながら寝ました。
そんなわけで、入院は精神的にも肉体的にも本当にコリやすい。
アロマテラピーは民間療法ですが…
「アロマテラピーは医療行為ではありません」
このフレーズはアロマテラピー検定でも何度も問われている大事なことです。
だけど医療ともう少し距離が縮まったらな、と思う。
病気
と
健康
の間のグレーゾーンのグラデーション、けっこう色合いの種類があるから。
産婦人科、老人福祉施設などは「健康」に近い場所だからか、アロマテラピーが取り入れられている例を結構見かけますが、「病気」が重くなればなるほどアロマテラピーは遠くなっていく。
アロマテラピーの資格を持っていても、医療の現場にはその知識がないと入れません。
だから医療の知識がすでにある方がアロマテラピーを学んでくださるのを期待しています。
病気と闘う方々が、病気そのもの以外のわずらわしさから解放されて、治療に専念しやすくなるためにも。
既に医療現場は人手不足が叫ばれているため、さらにアロマまで…というのは気が引けるところもあるのですが、今回入院してみて感じた緊張感とコリの強さから、こんな記事を書きました。
最後に、匂いと脳の関係研究しており、アロマテラピーに言及することも多い杏林大学・古賀良彦教授のインタビュー記事を引用します。
医療関係の方が、民間療法であるアロマテラピーに対してどうお考えなのかを探していた時に見つけた記事です。
心身症や不眠症といったストレスによってからだの一部が不調になる病気においても、匂いを使って神経の緊張を取り除くことで効果が現れる場合があります。しかし、なぜ、その匂いがストレスを緩和したり、元気づけたりするのかといったメカニズムは今のところあまりわかっていないのです。(2003年の記事)
http://www.my-kenshin.jp/wellness/pdf/well_no08.pdf 3ページ
これは2003年の記事でかなり古いのですが、この時点でも匂いがストレスを緩和したり人を元気づけることに言及されています。
ただ記事中にもあるように「メカニズムは今のところあまりわかっていない」。
このメカニズムがいつかわかる日が来たら、アロマテラピーは病院でも安心してできるお見舞いアイテムになるのでしょうか。
アロマテラピーではなくとも、モノではなくてサービスがお見舞いになるのは遠くない日に起こることだと思っています。
100年後はどうなっているのかな。
日々、少しずつ増えていく精油やアロマテラピーの研究成果をこれからも追いかけたいと思います。