【手作りコスメ入門編】蜜ろうクリームを作ってみよう
蜜ろうクリームって何?どこがいいの?
顔・体・手・髪・爪・唇・香り…と様々に使い道の分かれたクリームが出ていますが、その役割ぜーんぶまとめて1つでケアできるのが蜜ろうクリームです。
楽でいい!シンプルでいい!
アロマテラピーを使った手作りコスメの中で、最も幅広く使えてアレンジ力があるのは、それが化粧品の基本中の基本だから。
作り方は蜜ろうに好みの植物オイルを加えて固めるだけなのに、
- 栄養たっぷり
- 保湿力大でボディケア用クリームとして
- リップクリームに
- ヘアケア用のアロマバーム
- 練り香水として
など、幅広く使いまわせます。
今回は最も簡単な電子レンジを使った作り方に加えて、使い方のコツや注意点をまとめていきたいと思います。
この記事さえ読めば、蜜ろうクリームを使いこなせますよ!
レンジで簡単手作り蜜ろうクリームの作り方と基本のレシピ
通常お湯で温めて溶かす「湯せん」が必要とされる蜜ろうクリームづくりですが、旅行用クリームケース・リップバームケース程度の小さい容器で作る場合は、電子レンジで作ることができます。
旅行用クリームケースサイズのレシピ
出来上がり量約6.5ml
蜜蝋 1g
植物オイル 5ml
精油 2滴
蜜ろうと植物オイルを混ぜて電子レンジで30秒~1分あたため。
溶け切らないときは、様子を見ながら10秒ずつ時間を足す。
溶け切ってから精油を入れて混ぜる。
そのまま冷えるまで放置して、固まったら出来上がり。
蜜ろう1gは、溶けるとおよそ1.3ml~1.5mlになります。液体になると、ちょっとかさが増えるので容器には余裕をもちましょう!
混ぜる棒は溶ける心配がなく、口が小さくても入りやすい細め・木製・使い捨てが便利です。
缶容器などは電子レンジで使えませんのでご注意を。
量を多くするときの比率
たくさん作りたい時でも、材料の計算方法は簡単!レンジレシピと同じ割合で、溶かした材料を混ぜれば完成です。
蜜ろう1(g):植物オイル5(ml):精油2(滴)
【例】植物オイル20mlを使うときは…
基本の4倍量なので、
蜜ろう4g
植物オイル20ml
精油8滴
出来上がり量は26mlです。
(蜜ろう4gがだいたい6mlになるので)
それが入る30mlの容器を用意しましょう。
蜜ろう・精製と未精製の違い
お店で売っている蜜ろうには、精製と未精製の2種類があります。
目的や使いごこちによって選びましょう!
どちらか迷ったら無色・無臭の精製を選べば失敗はしません。
未精製みつろうとは
色が黄色いのが未精製蜜ろう。こっくりとした金色がなんとも美しく、クリームにした時ももったりとしたバターのような白身がかったキツネ色になります。
出来上がりの色合いはこんな感じ。
主成分であるワックス以外の、蜜ろうが本来持っているビタミンEや花粉の成分などの栄養素がそのまま入っていますが、その分独特なにおいも残っています。
この独特の香りですが、気にする人はするだろうな~と思います。
製品の袋には「はちみつを思わせる甘い香り」とありますが、香り方によっては濃縮されて樹皮のような香り・いぶしたような香りに思えることも。
- 蜜ろうがもつ複雑な栄養素が使いたい方
- クリームに色を付けたい方
アレルギーや敏感肌で、できるだけ刺激を避けたい方・アロマの香りを優先したい方には避けた方がいい素材です。
精製みつろうとは
未精製蜜ろうから、不純物を抜いたものです。刺激物がなく無臭のため、誰にでも使いやすい素材です。
できあがりの色も、白っぽい透明に仕上がります。
臭いが一切ないので、エッセンシャルオイルの香りがダイレクトに楽しめますよ!
もし精製みつろうを使うなら、ぜひ精油を加えたクリームにしてほしいです。
- 初めて蜜ろうクリームを作る方
- 香り重視の練り香水を作るとき
- 花粉症の方・アレルギーのある方
- 子ども用のクリーム
生活の木の蜜ろうを使うなら、この記事もぜひ一度見てみて!はかりがなくてもあきらめないで!
作った蜜ろうクリームの保存方法
蜜ろうクリームに使用期限はある?
また精油には使用期限があります。精油の使用期限が2か月以内の時はそちらに合わせましょう。
精油の使用期限は
かんきつ系:半年
それ以外:だいたい1年を目安に
作る前に必ずチェック。
いいエッセンシャルオイル・植物オイルなら、必ず使用期限が書いてあります。購入の際の参考にしてくださいね。
フロリハナで購入したオイルにはこう記載されてます
また肌に付ける場合は、できればかんきつ系は避けた方が無難です。相性もありますので、要パッチテストです。
蜜ろうクリームの容器選びのコツ
手作り化粧品の容器は、サイズがmlで記載されています。
ですが容器に入れる時はmlなのに、作るときの材料はグラムで表示されていることがほとんど。
計算が面倒なときには、容器の大きさには余裕を持ちましょう。
また電子レンジで作るときには、缶の容器は使えませんのでご注意ください。
蜜ろうクリーム作りの失敗例
→プラスチック・せともの。瓶の容器を使いましょう。缶やブリキを使いたいときは湯せんで溶かしたオイルを注ぐようにします。
→精油を注ぐときに、出ないな?と思って容器を振っていませんか?出にくいときもしばらく待つと出てきます。
入れすぎてしまった時は
(1)植物オイルや蜜ろうを増やす
(2)用途をクリームから練り香水に変更する
ことがおすすめです。
レシピ通りの同じ分量を使っても、夏と冬では固さが異なって感じられます。
外の気温によって、蜜ろうが固くなったり柔らかくなったりするからです。
固いと感じる時には植物オイルを多めに入れるとやわらかくなります。
失敗したら作り直しもできます
もし失敗した!と思ったら、もう一度溶かしてやり直すことができます。
使用する容器が浅い場合はそのまま湯せんにかけるのが若干難しいとは思いますが、その際は中身を別の湯せん用の容器に取り出してから作り直しましょう。
加熱すると、加熱度合いにもよりますが精油の香りが飛びますので、精油も再度加え直す必要があります。
蜜ろうクリームの使い方・塗り方のコツ
蜜ろうクリームのいいところは、髪から顔、全身に使えることです。以下、顔と体に塗るときのコツなどを簡単にご紹介します。
まず手に取って温めるのが大切
まず基本的には、落ち着いたゆっくりとした気持ちで使うことが大切です。
手に取ってじんわりと蜜ろうクリームがゆるくなるまで温めます。
温めることで精油の香りも立ちやすく、心がリラックスするためには大切な動作です。
顔に塗るとき
こするというよりは、手のひらで蜜ろうクリームをプレスするようになじませましょう。
顔の皮膚は体よりもとても薄いので、こすらないことが老化を防ぐためには大切です。
蜜ろうクリームは寒いと固まりがちなので、焦らずゆっくり溶かして、幕を一枚張るつもりで塗ります。
全身に塗るとき
全身に塗るときは、蜜ろうクリームを手のひら全体に塗り伸ばしてから身体に付けるとムラなく塗ることができます。
グリグリ指先でこすらず、手のひら全体をつかって優しくマッサージすると、リラックス効果も上がります。
髪に塗るとき
蜜ろうクリームはとても重たいので、根元に付けるのは避けましょう!ぺたっとしてしまい、不潔感すら出てしまいます。
全体に付けたいときも表面のみにして、髪の内側につけないこと。
付ける場所は毛先です。乾燥を保護してくれる他、動きが多いのでエッセンシャルオイルの香りを感じやすく心を豊かにしてくれます。
外出用に、リップクリーム兼用の髪用バームを作るのがおすすめです!
蜜ろうクリームの効果・効能
蜜ろうには、
- 抗酸化作用
- 皮脂コントロール
- 保湿・保護
の効果が期待できます。とびぬけて何にいい、というよりは皮膚の保護のオールラウンダー。
一緒に使う植物オイルや精油の作用を底上げして、使いやすい形にしてくれるものです。
以下、その中で特徴的なパルミチン酸についてちょっと書いてみます。
蜜ろうはパルミチン酸が豊富
蜜ろうに含まれる脂肪酸のほとんどがパルミチン酸です。
椿油・ココナッツオイル・ボリジオイル・アルガンオイル・オリーブオイルにも多く含まれている成分で、特に抗酸化と皮脂コントロールを担当しています。
ニキビ・抜け毛
パルミチン酸の皮脂コントロール作用により期待できる効果です。
ニキビに皮脂が過剰なのがよくないのはご存知かと思いますが、抜け毛の原因も頭皮の過剰な皮脂が毛穴に詰まって加速するとも言われています。
蜜ろうクリームは、オイリー肌の方にも使えるクリームです。
シワ・アンチエイジング
パルミチン酸は、酸化しやすいビタミンAを安定させる抗酸化作用があります。
とくにビタミンAはお肌の修復・新陳代謝に欠かせない存在のため、シワや肌老化によいと言われています。
精油や植物オイルに入っている成分も安定させてくれます。
肌荒れ・日焼け・湿疹
保湿・保護して炎症を抑える作用があるので、荒れた肌・日焼けしたあとの肌をガードするのに適しています。
荒れた肌と日焼けした後の肌に共通なのは、水分の飛びやすさ。何もしないでいると、さらなる乾燥を呼び込んでしまうのです。
蜜ろうは肌表面の水分が飛ばないようにふたをしてくれるので、乾燥している方や敏感肌をしっかりガードしてくれます。
植物オイルや精油との相乗効果
蜜ろう自体に保湿効果があるのですが、私が蜜ろうクリームを好きな理由は、植物オイル・精油の効果を組み合わせることでさらに効果を高めることができる点です。
蜜ろうクリームに加える植物オイルは「キャリアオイル」とも呼ばれていて、アロママッサージなどの際に使われている液体オイルです。
有名どころだとホホバオイル、アーモンドオイルなど手に入りやすいものだけでも10数種類あるのですが、そのそれぞれが保湿・抗酸化・アンチエイジングなど得意分野があります。
蜜ろうの保湿効果・植物油の効果・精油の効果が足し算ではなく掛け算のように広がっていくのも手作り蜜ろうクリームのおもしろさ。
シンプルに作っても十分楽しいですし、本腰を入れて自分にとって本当にここちよいテクスチャー・香り・作用を追求することもできる、長く付き合えるクリームです。
みつろうクリームにおすすめのキャリアオイル
まずは基本のホホバオイル
ホホバオイルは蜜ろうクリームに限らず、アロマクラフトやマッサージで多用されるオイル。
その理由は、
- 保湿力が高い
- 伸びがよい
- 酸化しにくくて保存性が高い
- 高温でも変質しない
など、使い心地が良いのに加えてとにかく環境の変化に強いから。
もしこれまでキャリアオイルを買ったことがなくて、これからいろんなアロマクラフトやマッサージを始めてみよう、と考えている方はまずこれを試してみてください。
クリアが精製、ゴールデンが未精製に近いものです。(精製と未精製については、蜜ろうでの違いと気を付ける点は一緒です)
ただし10度前後で固まるので、お住いの場所によっては冬場はちょっと手間が増えるかもしれません。
ヘアケア用のアロマバームを作るならだんぜんホホバオイル
ヘアケア用に売られている市販のアロマバーム、非常に多くの製品で使われているのがホホバオイルです。(それをベースにシアバター足すことも)
たとえば美容室でよくみかけるこれ。
「余ったらハンドクリームに使えます」と説明されているこれはまさに蜜ろうクリームなのですが、成分表示を見ると
シア脂、ホホバ種子油、ミツロウ、シア脂油、マンダリンオレンジ果皮油、オレンジ果皮油、ベルガモット果実油、パルマローザ油、ビターオレンジ葉/枝油、アルテミシアパレンス花/葉/茎油、トコフェロール
↑これ、含まれている量が多い順にかかれているはずなのですが、シア脂(シアバター)の次は、ホホバオイルなんです。
ワックスよりもツヤを出したい方、ぜひホホバオイルで蜜ろうクリーム作って、ヘアケア用アロマバームに!
上に書かれている精油を参考にブレンドすると、香りも失敗せずさわやかなかんきつ系バームに。
ちなみに最後に含まれているトコフェロールはビタミンEのことで、油が参加するのを防ぐ役割で追加されています。
マカデミアナッツオイル
マカデミアナッツオイルについては過去に記事にしたこともあるので詳しくはそちらを読んでほしいのですが、「消えるオイル」と呼ばれているほど付け心地がサラっとしたオイル。
老化が始まると少なくなる、と言われているパルミトレイン酸が豊富なアンチエイジング系のオイルで、皮脂とよく似た構成なのもよいです。
お肌の老化からくる乾燥系や小じわに真剣に悩んでいる人におススメ!
ただナッツアレルギーの方にはすすめません。
使用期限については、ホホバオイルほどではありませんが比較的長く保存できるオイルです。
しかし生活の木のマカデミアナッツオイルは開封後2か月以内を推奨。
蜜ろうクリーム以外でもガンガン使ってください!
アルガンオイル
キャリアオイルに「機能性」を求めだしたのは、私はこのアルガンオイルに出会ってからです。
抗酸化力がとても強く、老化に伴う肌トラブル全般に作用してくれます。
その理由はビタミンEの多さ。
抗酸化力が強いことの他にも、ビタミンEは
- 新陳代謝をよくする
- 肌の血行を良くする
- 皮膚が固くなるのを防ぐ
など、お肌に求める作用がたくさんあります。
お肌の固さ・くすみが気になる方におすすめ。
やけどや妊娠線にもいいと言われていますが、水をきっちり捕まえてやわらかくムッチリした肌にしてくれます。
さらに変化を求めるなら
固形のシアバター、ココナッツオイルも使えます。
やわらかいテクスチャーのクリームを使いたいなら、蜜ろうが固めなので、蜜ろうの量を減らすようにしましょう。
液状のキャリアオイルをそのままシアバターに置き換えるとかなり固くなるので、キャリアオイルもはしょらずに加えてくださいね。
蜜ろうクリームにエッセンシャルオイルを足して香りづけ
蜜ろうクリームのいいところは、さらにエッセンシャルオイル(精油)を足してアロマの効果も得られるクリームになるところです。
「アロマオイル」ではなく「精油」「エッセンシャルオイル」を買う
まず加える前に、お手持ちの精油は本物ですか?
エッセンシャルオイル(精油)は、植物から抽出した天然自然のものです。
雑貨屋さんで売っている「アロマオイル」に表示されている名前が「ラベンダー」「ゼラニウム」となっていても合成の「アロマオイル」で、エッセンシャルオイルとは異なるときがあります。
必ず本物の精油かチェックしてみてください。
蜜ろうクリームの目的別アロマレシピ
蜜ろうクリームに加える精油によって、毎日の生活に役立つクリームが作れます!
アトピー・アレルギーがある方への注意
精油を加えた蜜ろうクリームを作る前に、まずはプレーンな蜜ろうとキャリアオイルのみのクリームを使用してみて、自分の肌に合うかどうか試してみてください。
そして精油を加える場合もまずは1種類から。
ブレンドして使うのは、その後にしましょう。
面倒なようですが、精油は何十種類・場合によっては数百種類の化学物質が混じったもので、どれが反応するかわかりません。
また単体では大丈夫でも、ブレンドしたときに別の反応が起こる場合があります。
パッチテストも必ずしてみてください。
アウトドアで使う日焼け用蜜ろうクリーム
日焼けする前にも後にも両方使えるブレンドです。以下の割合でブレンドしてください
カモミール(ローマン・ジャーマンいずれも)1
ラベンダー 1
よりお肌をいたわるなら:+ゼラニウム 1
サッパリと使いたいなら:+ペパーミント 1
虫よけ蜜ろうクリーム
夏場の必需品!
レモングラスはハーブティーでも有名なシトラスグリーンのさわやかな香り。
ユーカリをゼラニウムに置き換えても可。
レモングラス 1
ユーカリ 1
むくみを解消するアロマ蜜ろうクリーム
グレープフルーツ 2
ジュニパー 1
グレープフルーツがない時はラベンダーに代えても良いです。
保湿力をさらに上げるアロマ蜜ろうクリーム
サンダルウッド 1
ローズ 1
ちょっとこっくり濃いめのブレンドですが、どちらか単体でもとっても保湿力高いです。
どちらかをクラリセージに入れ替えも可能。
乾燥している方にとてもおすすめです。
精油は心に働く香りを選ぼう
目的別の精油ブレンドについて書きましたが、私が最もおすすめしたい精油の選び方は、心のおもむくままに選ぶこと。
香りの好みはとてもフレキシブルで、味覚や視覚ほどガチガチに好みが定まっていません。
あなたのすきな香りはうつろいやすく、またそこに自分の心理状態を乗せることが可能。
「いい香り」と思える香りをすこし時間をかけて選ぶ過程で少しずつ心がときほぐれていくのが実感できます。
いい香り~と思いながら、嫌な気持ちにはなれない。
人間のパフォーマンスは、緊張したときには絶対に高くならず、リラックスしたときほど高いことが知られています。
これが脳の仕組みで、脳の原始的な部分にダイレクトに働く嗅覚は「リラックス状態」をとても短い時間で作り出すことができます。
いい香りを感じているときこそ、いい自分が出せるのです。
心とアロマの関係を文章にしていくとちょっとスピリチュアルな表現になりますが、自分の状態をやや高い視点から判断するための、心を落ち着けるツールとしてぜひ好きな香りを乗せた蜜ろうクリームを使ってみてください。
以上、蜜ろうクリームの作り方でした。
好きな香りに包まれて、よりしっとりきれいになれますように。